映画「ぐるりのこと。」に思うこと
めんどうくさいけど、いとおしい。いろいろあるけど、一緒にいたい。
この映画はその一言につきます。あらすじを読むだけで切なさが伝わってくるかと思いますが、この映画を見た後に、夫婦の在り方を改めて考えることができました。
木村多江さんが作品の中で子どもを亡くした後の情緒不安定な様子を演じていますが、その役に入り込みたせいで彼女自身も鬱のような状態だったとのこと。
見せ場の一つである、妻が泣きじゃくりながら夫に悲しみの堆積した感情をぶつける場面などは、心の奥底でこみあげてくる悲しさでつぶされそうになった。
実際、夫役のリリー・フランキーさんの話によれば、役に入り込みすぎて、号泣し、台詞が言えなくなるシーンもあったそうだ。
人と、夫婦と、希望と、現実と、複雑な環境の中に見出す愛をこの作品で感じてください。
「ぐるりのこと。」イントロダクション
世界が認めた才能”橋口亮輔6年ぶりの復活作は、ずっと心にとどまり続ける、ささやかだけど大きな愛の物語。決して離れないふたりの物語。そしてそれは、いまを生きる私たちの物語。
- どんな困難に直面しても一緒に生きていく。ふたりが辿る希望と再生の10年を描く珠玉のラブ・ストーリー
- 「お、動いた!」小さくふくらんだお腹に手を当て、翔子は夫のカナオとともに、子を身籠った幸せを噛みしめていた。しかし、そんなどこにでもいるふたりを突如として襲う悲劇──初めての子供の死をきっかけに、翔子は精神の均衡を少しずつ崩していく。うつになっていく翔子と、彼女を全身で受け止めようとするカナオ。困難に直面しながら、一つずつ一緒に乗り越えていくふたりの10年にわたる軌跡を、『ハッシュ!』以来6年ぶりにメガホンをとる稀代の才能・橋口亮輔が、どこまでもやさしく、ときに笑いをまじえながら感動的に描きだす。人はひとりでは無力だ。しかし、誰かとつながることで希望を持てる。決して離れることのないふたりの絆を通じて、そんな希望のありかを浮き彫りにする、ささやかだけど豊かな幸福感に包まれる珠玉のラブ・ストーリー。法廷画家のカナオが目にする90年代のさまざまな犯罪・事件を織り込みながら、苦しみを乗り越えて生きる人間の姿をあたたかく照らしだしていく。
- 木村多江とリリー・フランキーが映画初主演。身を削るような演技が生み出すリアルな感情が、観る人の共感を呼ぶ
- 出版社につとめ、週3日は夫との「する日」を決めている、何事にもきちんとしなければ気がすまない妻・翔子。彼女を演じるのは、今作が映画初主演となる木村多江(『大奥』『スターフィッシュ・ホテル』)。大きな悲しみから心を病み、やがてそこから力強く再生していく女性の姿を、身を削るようにして演じきり、凛としたたたずまいと繊細な感情を同時に表現した。一方、靴の修理工から法廷画家へと職を変え、頼りなげな夫・カナオを演じるのは、こちらも本格的な映画初主演となるリリー・フランキー(「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」「おでんくん」)。翔子をやさしいまなざしで見つめ、何があっても彼女を受けとめ、支え続ける慈愛に満ちた役柄を、飄々とした表情と体温を感じさせるあたたかな息づかいで好演している。監督の橋口亮輔は「ふたりのドキュメンタリーを撮るつもりでのぞんだんです」と言う。そのようにして収められた彼らの姿からは、演技やフィクションを超えたリアルな感情があふれ出て、観る人の心を揺さぶり、大きな共感を呼ぶ。
- 稀代の才能・橋口亮輔が6年の歳月を経て辿り着いた新境地。自らの実体験をもとに魂を込めて作り上げた、いとおしさあふれる名作。
- 前作『ハッシュ!』(02)がカンヌ国際映画祭ほか数々の映画賞受賞と52カ国を超える世界公開で話題となった橋口亮輔。6年という長い歳月を経て辿り着いた本作のオリジナル脚本は、自身が『ハッシュ!』以降に経験したさまざまな出来事をもとに書かれている。人間の悪意が次々と顕在化していった9・11以降の世界、その中で自らがうつになり、闘った苦悩の日々。そこで彼は、日本社会が大きく変質したバブル崩壊後の90年代初頭に立ち返り、自らの人生と世界を重ね合わせ、「人はどうすれば希望を持てるのか?」を検証したと言う。彼が導き出した答えは、「希望は人と人との間にある」ということ。そうやって苦しみを乗り越えた実体験を反映させ、橋口亮輔はささやかな日常の中にある希望の光を、1シーン1シーンをいつくしむ丁寧な演出で浮き上がらせる。6年ぶりの復活作は、観た後もずっと心の中に大切にとどまり続ける、いとおしさにあふれた名作になった。
- 90年代に起きたさまざまな犯罪・事件……。社会を反映させた物語を個性派キャストが彩る
- 『ぐるりのこと。』の舞台となるのは、1993年冬から9・11テロに至るまでの約10年間。本作は翔子とカナオの再生のドラマを描きだす一方で、その社会的背景にも静かに迫っていく。カナオが法廷で目撃するのは、90年代から今世紀初頭にかけて起きた実際の事件とその犯罪者たち。宮崎勤による連続幼女誘拐殺人事件やオウム真理教による地下鉄サリン事件など、個人の希望の裏側に存在する社会の負の側面にも目を向ける。加瀬亮、新井浩文、片岡礼子らが登場する当時の事件を反映した法廷シーンも、この作品の大きな見どころのひとつ。倍賞美津子、柄本明、寺田農といったベテランに加え、寺島進、安藤玉恵、八嶋智人ら個性派俳優たちが脇を固め、重苦しい時代の空気を受けとめながらも“ふたりでいることのしあわせ”を見つけ出す翔子とカナオをあたたかく見守る。
ストーリー
ぐるりのこと。”──自分の身の周りのこと。または、自分をとりまく様々な環境のこと。
1993年7月。ふたりの部屋のカレンダーには「×」の書き込み。妻・翔子(木村多江)が決めた週に3回の夫婦の「する日」の印だ。しかし、その日に限って、靴修理屋で働く夫・カナオ(リリー・フランキー)の帰宅は遅い。女にだらしないカナオが遊び歩いているのでは? 彼の手の甲をぺろりと舐め、浮気かどうかチェックする翔子。カナオは先輩の紹介で、新しく法廷画家の仕事を引き受けてきたところだった。「はあ! 靴屋は? とにかく……決めたことやってから話そうか」苛立った様子で寝室へ消える翔子。カナオはぼやきながら、渋々寝室へ入っていく。
ふたりはどこにでもいるような夫婦。翔子は女性編集者として小さな出版社でバリバリ働いている。一方、カナオは法廷画家の仕事に戸惑いつつ、クセのある記者・安田(柄本明)や先輩画家らに囲まれ、次第に要領を掴んでいく。職を転々とするカナオを、翔子の母・波子(倍賞美津子)、兄・勝利(寺島進)とその妻・雅子(安藤玉恵)は好ましく思っていない。しかし、そんなカナオとの先行きに不安を感じながらも、小さな命を宿した翔子には喜びのほうが大きい。「お、動いた!」カナオと並んで歩く夜道で、翔子は小さくふくらんだお腹に手を触れる。カナオのシャツの背中をぎゅっと掴んで歩くその後姿には、幸せがあふれていた──。
1994年2月。ふたりの部屋に掛けられたカレンダーからは「×」の印が消えている。寝室の隅には子どもの位牌と飴玉が置かれていた。初めての子どもを亡くした悲しみから、翔子は少しずつ心を病んでいく。
法廷でカナオはさまざまな事件を目撃していた。1995年7月、テレビは地下鉄毒ガス事件の初公判を報じている。産婦人科で中絶手術を受ける翔子。すべてはひとりで決めたこと、カナオにも秘密である。しかし、その罪悪感が翔子をさらに追い詰めていく。
1997年10月、法廷画家の仕事もすっかり堂に入ってきたカナオ。翔子は仕事を辞め、心療内科に通院している。台風のある日、カナオが家へ急ぐと風雨が吹きこむ真っ暗な部屋で、翔子はびしょ濡れになってたたずんでいた。「わたし、子どもダメにした……」翔子は取り乱し、カナオを泣きながら何度も強く殴りつける。「どうして……どうして私と一緒にいるの?」そんな彼女をカナオはやさしく抱きとめる。「好きだから……一緒にいたいと思ってるよ」ふたりの間に固まっていた空気が溶け出していく──。
DVD情報
内容紹介
「めんどうくさいけど、いとおしい。」
「いろいろあるけど、一緒にいたい。」
“決して離れない”1組の夫婦の10年を描いた、珠玉のラブストーリー
★第32回山路ふみ子映画賞受賞
★報知映画賞 最優秀監督賞受賞
★第32回日本アカデミー賞主演女優賞受賞(木村多江)
★第23回高崎映画祭・最優秀作品賞 ・最優秀主演女優賞(木村多江)
★第51回ブルーリボン賞 ・主演女優賞(木村多江) ・新人賞(リリー・フランキー)
★毎日映画コンクール
★日本映画優秀賞・最優秀脚本賞(橋口亮輔)
- 世界中が待ち望んだ、橋口監督最新作
- 前作『ハッシュ!』(02)でカンヌ国際映画祭ほか、数々の映画賞受賞で話題となった橋口亮輔監督。
最新作は、1990年代初頭から21世紀にかけて実際に起きた様々な社会的事件を背景に盛り込みながら、一組の夫婦の時の流れを丁寧に紡いだ物語。
ささやかだけどいとおしい“夫婦の映画”の傑作が誕生した。
- 主演は木村多江×リリー・フランキー
- 几帳面であるがゆえに、少しずつ心を病んでいく妻・翔子を演じるのは木村多江。ひょうひょうと生きる法廷画家の夫・カナオ役に、本格的な映画主演に挑むリリー・フランキー。
時に寄り添い、時にぶつかり合う二人の姿は、観る人の心を大きく揺さぶる。
- 社会を反映した物語を彩る個性派キャストたち
- 夫婦の再生のドラマを描き出す一方で、その社会背景にも迫る本作。法廷シーンには加瀬亮、田辺誠一、光石研らが出演するほか、倍賞美津子、柄本明らのベテランや、
寺島進、八嶋智人ら個性派俳優が脇を固めている。
商品内容
- 2枚組(本編+特典ディスク1枚)
- アウターケース付き
本編Disc
142分+特典映像
- 音声
- オーディオコメンタリー:監督×リリー・フランキー×木村多江・ 視覚障害者対応日本語音声ガイド
- 字幕
- 聴覚障害者対応日本語字幕・ 英語字幕
- 特典
- 特報/予告編/TVスポット/『ハッシュ!』予告編
特典Disc
- 107分
- 『ぐるりのこと。』メイキング
- 『ぐるりのこと。』未公開映像集
- Akeboshi×映画『ぐるりのこと。』special
封入特典
スタッフ
- 原作・脚本・編集・監督:橋口亮輔(『ハッシュ!』、『二十歳の微熱』)
- キャスト:木村多江、リリー・フランキー、倍賞美津子、寺島 進、安藤玉恵、八嶋智人、寺田農、柄本明 他
- 制作:シグロ
- 配給:ビターズ・エンド
- 製作:シグロ/ビターズ・エンド/衛星劇場/アミューズソフトエンタテインメント/博報堂DYメディアパートナーズ
(C)2008 「ぐるりのこと」プロデューサーズ
内容(「キネマ旬報社」データベースより)
『ハッシュ!』の橋口亮輔監督によるラブストーリー。90年代のさまざまな社会的事件を背景に、困難に直面しても離れずに生きていく夫婦の10年の軌跡を描く。映画初主演の木村多江とリリー・フランキーが共演。